井出 直仁
問題解決能力を身に着け、治療に積極的に介入できる薬剤師の育成
薬剤師の責務は「医薬品適正使用の推進」です。薬剤師の仕事は調剤や服薬指導がメインだと思うかもしれませんが、これらは医薬品適正使用の一過程にすぎません。また、処方箋通りに調剤し用法・用量や副作用を説明するのであればAIが進歩することで機械やロボットが行うことができます。薬剤師業務は、対物業務から対人業務へのシフトの必要性が言われ、今般の法改正でも薬剤使用期間中の定期的なフォローアップが必要となりました。その中で、特に副作用の観点から治療に介入していくことが重要となっています。
私は23年間病院へ勤務し、副作用の観点から治療に介入した事例について研究を行ってきました。副作用が起こる頻度は決して多くはありませんが、早期に発見し重篤化を回避することが重要です。医薬品の知識を身に着けるだけでなく、問題解決能力を養い、積極的に治療に介入できる薬剤師になってください。
略歴
静岡県立大学薬学部薬学科卒、静岡県立大学大学院薬学研究科博士後期課程修了
掛川市立総合病院 薬剤室、中東遠総合医療センター 薬剤部を経て現職
博士(医療薬学)、医療薬学専門薬剤師、医療薬学指導薬剤師、認定実務実習指導薬剤師
Naohito Ide, Ayaka Mochizuki, Yoshiyuki Kagawa, and Masaharu Ito, A case of complete atrioventricular block with extremely high blood concentration of azelnidipine. J Pharm Health Care Sci, 7 (2021) doi: 10.1186/s40780-021-00230-x.
山本麻里子、井出直仁、松島暁、三上智、伊藤政治.薬剤師の薬学的介入により発見されたアマンタジン中毒の高齢者の2症例.日本病院薬剤師会雑誌 56(4) 409-413 (2020)
Naohito Ide, Seitaro Sato, and Kazuyo Sawaguchi. Risk of Acute Kidney Injury in Patients Treated with Vancomycin and Piperacillin/Tazobactam Compared to Vancomycin and Meropenem or Doripenem: A Retrospective Cohort Study. YAKUGAKU ZASSHI 139(12) 1609-1614 (2019) doi: 10.1248/yakushi.19-00137.
山本麻里子、井出直仁、北島信三、大林正和、淺田馨、松島暁、伊藤政治.エンパグリフロジン服用中の低糖質食摂取により血糖正常性ケトアシドーシスを生じた1例. YAKUGAKU ZASSHI 139(11) 1479-1483 (2019) doi: 10.1248/yakushi.19-00120.
井出直仁、澤口和代.薬剤師の薬学的介入で発見されたスルファメトキサゾール・トリメトプリムの内服後に生じたアマンタジン中毒の1例.日本病院薬剤師会雑誌54(7) 847-850 (2018)
Naohito Ide, Kasumi Arisawa, Kanami Ogura, Yoshiyuki Kagawa, and Toshio Maeda. Age-Dependent Onset of Insulin Resistance in Insulin-Resistant Mice. Biological and Pharmaceutical Bulletin 38(12) 1925-1934 (2015) doi: 10.1248/bpb.b15-00602.
井出直仁、佐藤誠太郎、平野茂子.常用量のfamciclovirにより異常なpenciclovir血中濃度上昇を示した高齢者の1例.日本化学療法学会雑誌 63(5) 469-472 (2015)
Hikaru Satoh, Naohito Ide, Yoshiyuki Kagawa, and Toshio Maeda. Hepatic Steatosis with Relation to Increased Expression of Peroxisome Proliferator-Activated Receptor-γ in Insulin Resistant Mice. Biological and Pharmaceutical Bulletin 36(4)616-623(2013) doi: 10.1248/bpb.b12-01000. Epub 2013 Feb 2.
井出直仁、鈴木あゆ美、鈴木恵理子、後藤誠一.グロリオサ(Gloriosa superba)の誤食によるコルヒチン中毒の1症例.中毒研究 23(3) 243-245 (2010)
井出直仁、後藤誠一、森雅美.薬剤師の薬学的介入がリチウム中毒の進行を防いだ症例.YAKUGAKU ZASSHI 129(8) 1007-1011 (2009) doi: 10.1248/yakushi.129.1007.
井出直仁、後藤誠一、森雅美.薬学的介入の医療処置への反映度に基づいた新しい薬剤管理指導業務評価法の開発.YAKUGAKU ZASSHI 128(8) 1215-1220 (2008) doi: 10.1248/yakushi.128.1215.
井出直仁、望月彩加、伊藤政治、薬学的介入によって永久ペースメーカー植込みが回避されたアゼルニジピンによる完全房室ブロックの症例、第30回日本医療薬学会年会、web (2020)
山本麻里子、井出直仁、北島信三、千葉修平、大林正和、淺田馨、松島暁、伊藤政治、敗血症性ショック患者におけるAugmented Renal Clearanceの発現率調査と発現予測因子の検討(続報)、第47回日本集中治療医学会学術集会、名古屋市 (2020)
山本麻里子、井出直仁、松島暁、三上智、伊藤政治、薬剤師の薬学的介入により発見されたアマンタジン中毒の一例、第29回日本医療薬学会年会、福岡市 (2019)
長江優吾、石井康子、飯塚美帆、江川仁美、加藤純、北島信三、酒井直樹、竹原誠也、市橋鋭一、井出直仁、池谷延房、中島重紀、澤口和代、伊藤政治、賀川義之、バルプロ酸の体内動態に及ぼす個体間差要因に関する研究、日本薬学会第139年会、千葉市 (2019)
山本麻里子、井出直仁、北島信三、松島暁、伊藤政治、敗血症性ショック患者におけるAugmented Renal Clearanceの発症頻度と予測因子の検討、第46回日本集中治療学会学術集会、京都市 (2019)
井出直仁、佐藤誠太郎、澤口和代、伊藤政治、バンコマイシン注とタゾバクタム/ピペラシリン注併用中に急性腎障害を生じた2症例、第12回日本腎臓病薬物療法学会学術集会、浜松市 (2018)
井出直仁、甲賀麻里子、佐竹啓彰、澤口和代、平野茂子、病棟専任薬剤師と医薬品情報管理薬剤師とのカンファレンスで副作用の早期発見・重篤化につながった事例、第24回日本医療薬学会年会、名古屋市 (2014)
今井志織、佐藤聖、井出直仁、賀川義之、前田利男、インスリン抵抗性自然発症マウスにおけるインスリン抵抗性と脂肪肝の発症の性差、日本薬学会第133年会、横浜市(2013)
佐藤聖、今井志織、井出直仁、賀川義之、前田利男、インスリン抵抗性自然発症マウスにおける脂肪吸収亢進による脂肪肝の発症、日本薬学会第132年会、札幌市 (2012)
井出直仁、今井志織、佐藤聖、賀川義之、前田利男、インスリン抵抗性自然発症マウスにおけるインスリン分泌とインスリン抵抗性発現の相関性、日本薬学会第132年会、札幌市 (2012)
井出直仁、平野茂子、後藤誠一、バラシクロビルにより急性腎不全を呈した高齢者の一例、日本薬学会第131年会、静岡市 (2011)
鈴木あゆ美、井出直仁、後藤誠一、当院におけるテイコプラニン治療効果の評価、日本薬学会第130年会、岡山市 (2010)
井出直仁、前田利男、賀川義之、後藤誠一、発酵ニンニクの摂取によりワルファリンと降圧剤の作用増強が現れた症例、日本薬学会第130年会、岡山市 (2010)
井出直仁、後藤誠一、森雅美、薬学的介入によって防がれたリチウム中毒の症例、日本薬学会第128年会、横浜市 (2008)
第39回 日本薬学会医療薬学会公開シンポジウム シンポジスト 「若手薬剤師による研究開始から論文掲載までの成功体験報告」2010年9月
平成19年度 日本薬学会医療薬科学部会 公募論文 優秀賞 「私の薬剤師倫理」
平成18年度 日本薬学会医療薬科学部会 公募論文 入賞 「6年生教育を受けた薬剤師を迎える現場の薬剤師のあるべき姿」
井出直仁、川口崇、岸田直樹.読者も実践 臨床推論 発熱が続いた肺炎の80歳女性.月刊薬事 55(12) 2274-2275 (2013)
井出直仁、川口崇、岸田直樹.読者も実践 臨床推論 胃がん化学療法中、口が閉じなくなった34歳女性.月刊薬事 55(9) 1630-1631 (2013)
後藤誠一、井出直仁、平野茂子、青野祐一.「いまこそ地域連携」地域連携のヒントを実例から探る「かかりつけ手帳」を使った医・歯・薬の連携.月刊薬事51(1) 65-69 (2009)
井出直仁.6年生教育を受けた薬剤師を迎える現場の薬剤師のあるべき姿.月刊薬事 50(13) 2161-2164 (2008)