本学大学院生の研究成果が国際学術誌に掲載されました
― 新しい糖尿病治療薬「イメグリミン」の実臨床での有効性と安全性を検証 ―
日本薬科大学大学院の木村正彦さん(指導教員: 前田智司教授・佐古兼一准教授)の研究成果が、日本糖尿病学会の英文誌「Diabetology International」に掲載されました。
木村さんは、自治医科大学附属さいたま医療センター薬剤部に勤務する病院薬剤師として日々の診療に携わりながら、本学大学院において糖尿病治療に関する研究に取り組んでいます。
今回、実際の医療現場で得られた診療データを活用し、新しい2型糖尿病治療薬「イメグリミン」の有効性と安全性について検討しました。
イメグリミンは、2021年に日本で発売された新しい作用機序を持つ2型糖尿病治療薬です。臨床試験では血糖コントロールを改善することが示されていますが、実際の医療現場では、糖尿病の治療歴が長い患者さんや、すでに複数の糖尿病治療薬を使用している患者さんなど、臨床試験とは異なるさまざまな背景を持つ患者さんに使用されます。そのため、こうした実臨床(リアルワールド)における有効性や安全性を検証することが重要です。
そこで本研究では、自治医科大学附属さいたま医療センターにおいてイメグリミンによる治療を受けた2型糖尿病患者さんの診療データを後ろ向きに解析しました。
他の糖尿病治療薬を変更することなくイメグリミンを6か月間継続した54名について調査したところ、血糖コントロールの代表的な指標であるHbA1cは治療開始後から改善し、6か月後には平均0.91%低下しました。
一方、腎機能、体重、脂質などには明らかな悪化は認められませんでした。また、実臨床における安全性についても検討したところ、一部の患者さんでは消化器症状などにより治療が中止されていました。このことから、イメグリミンによる治療では、効果だけでなく消化器症状などにも注意しながら治療を継続することが重要と考えられます。
本研究は、臨床試験とは異なる実際の医療現場(リアルワールド)でイメグリミンを使用した際の治療成績を明らかにした研究です。特に、糖尿病の治療歴が長く、複数の糖尿病治療薬を使用している患者さんを含む実臨床データを示したことは、今後イメグリミンを適切に使用していく上で参考となる知見の一つになると考えられます。
また、本研究は、病院薬剤師として臨床現場で得られた疑問を研究課題として捉え、大学院での研究活動を通して検証したものです。 今後も実臨床から得られる課題に着目し、患者さんのより適切な薬物療法につながる研究を進めていきます。
■論文情報
M. Kimura, et al.
Real-world effectiveness and safety of imeglimin in Japanese patients with type 2 diabetes: a retrospective observational study.
Diabetology International, 17(4):68, 2026.
論文リンク https://link.springer.com/article/





