本学大学院生の研究成果が国際学術誌に掲載されました
本学大学院生の研究成果が国際学術誌に掲載されました
-副作用報告データベースを用いた、オピオイドによる尿閉の解析-
日本薬科大学大学院の田中祐介さん(指導教員: 前田智司教授・佐古兼一准教授・井出直仁教授)の研究成果が、国際学術誌 Drug Discoveries & Therapeutics に掲載されました。
田中さんは、自治医科大学附属さいたま医療センター薬剤部に勤務する病院薬剤師として日々の診療に携わりながら、本学大学院において医薬品の安全性評価に関する研究に取り組んでいます。
オピオイドによる尿閉に着目した研究
オピオイドは、がん疼痛をはじめとするさまざまな疼痛管理に広く使用される重要な薬剤です。一方で、眠気、便秘、悪心などの副作用に加え、尿が出にくくなる「尿閉」を引き起こすことがあります。尿閉は患者さんの苦痛や生活の質(QOL)に影響する可能性がありますが、オピオイドの種類による報告傾向の違いについては十分に明らかになっていませんでした。
そこで本研究では、日本の医薬品副作用報告データベースである「日本の医薬品副作用データベース(JADER)」を用いて、主要なオピオイドごとの尿閉に関する報告傾向を解析しました。
研究内容と主な結果
本研究では、2004年4月から2025年10月までにJADERに登録された報告を対象として解析を行いました。その結果、モルヒネ、オキシコドン、トラマドール、コデインでは尿閉に関する報告シグナルが認められた一方、貼付剤として使用されるフェンタニルでは、尿閉との関連を示す報告シグナルは認められませんでした。
実臨床における副作用評価への貢献
本研究は、実際の医療現場から集積された大規模な副作用報告データを活用し、オピオイドごとの尿閉に関する報告パターンを比較した研究です。
ただし、副作用報告データベースの解析では、患者背景や使用目的などの影響を完全に除くことはできません。そのため、本研究の結果は薬剤選択を直接決定するものではなく、今後の臨床研究や副作用モニタリングにつながる知見を提供するものです。
臨床薬剤師の視点から研究へ
本研究は、病院薬剤師として日常診療の中で感じた「オピオイドによる尿閉への対応」という臨床疑問を研究課題として発展させたものです。
大学院での研究活動を通じて、実臨床から得られる課題を科学的に検証し、患者さんにより安全で適切な薬物療法を提供するための研究につなげています。
■論文情報
Yusuke Tanaka, et al.
Disproportionality Analysis of Opioid-Related Urinary Retention Using the JADER Database: Focus on the Lack of Signal for Transdermal Fentanyl
Drug Discov Ther. 2026 Aug 21.
論文リンクhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/ddt/advpub/0/advpub_2026.01040/_article





